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2022年12月30日

この秋、浅田次郎氏の著書「天子蒙塵」を読んだ。
読んだ、と言っても、そこに至るまでが長かった。
なぜなら「天子蒙塵」は、「蒼穹の昴3部作」と言われる「蒼穹の昴」「中原の虹」「珍妃の井戸」に続く4作目だからだ。4作目ということは、1作目の「蒼穹の昴」の内容を詳しく覚えているわけではないから、また1作目から「珍妃の井戸」までを読みなおさなければならない。
なにしろ登場人物が多い(愛新覚羅家の系譜に出てくる、特に乾隆帝以降20人くらい。その他、張作霖が率いる馬賊。袁世凱などの中国政府要人など)し、出来事も多い(義和団事件、張作霖爆殺事件、戊戌の政変など)。しかも、長い。3部で10冊。しかし、面白い。面白いというより、いい。すごく、いい。
浅田次郎氏は、純文学からユーモアエッセイまで、とても幅広い分野の作品が楽しめる。
全てに共通するのは、信じられないほどの豊富な語彙数、信じられないほどの豊かな表現力、全体を通しての文章構成力だと思う。そして出来上がった作品は、どんなに難しくても、辞書や地図帳などを調べてでも理解させずにはおかない魅力を持つ。
例えば山岡荘八氏の「徳川家康」は26巻もあるが、一貫して史実通りの歴史文学だ。しかし浅田氏の作品は、架空の人物や事物も取り入れられ、山岡氏や吉川英治氏の作品とはまったく異なる。史実通りではない。だから歴史小説とは言わないだろう。
蒼穹の昴、ぜひ一度お読みいただきたい。そして、西太后と春雲(架空人物)とのやりとり、春雲の嘆き、張作霖の言葉、それらを堪能していただきたい。

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